riri_kawaseの世界。

明日もあなたが幸せでありますように・・・。

自由への決意。/ただのショート。

慣れることは怖いことだと思った。


ここに連れて来られた当初は毎日悲観して死ぬことばかり考えていた。ところが今では暢気に歌をうたって食事を待っている自分がいる。


このままではいけない。なんとかして脱出をしなければ外の世界に戻れない。

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でも・・・と考えてしまう。


実は外にいた時、自分はいじめられていた。理由は簡単だ。自分でもうんざりするくらいトロいからなのだ。


よく母にも言われた。「あんたは大人になったら苦労するだろうね」と。


自分でもそう思う。とにかく思い通りにいったことがなく、いつも笑われていた。こんな自分だから友達もいなかったし、誘拐されたのだと思う。

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はっきり言って外の世界に戻っても良いことなんて一つもない。むしろ、時間通りに食事が与えられ、いじめっ子やこうるさい母がいない今の環境は、自分にとっては幸せなのかもしれなかった。だけど、何か一つくらいこんな自分にもできることがあるんだって証明したかった。


方法はあった。三日に一回の掃除の時間だ。その時にあいつはやってきて、扉を全開にして掃除をする。窓も開けっ放しだ。私には逃げることなんてできないだろうと油断しているのだろう。


明日、私は証明するんだ!! 私は部屋を覆う鉄の柵を睨みながら決意した。


「逃げちゃったわ・・・」


妻はそう言って窓の外をさっきから心配そうに眺めていた。

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最近できた工場の煙突からは大量の煙が出ている。


その影響で裏山の空は灰色の煙に覆われていた。


あの煙によって山の動物は大量に亡くなった。だから、あの鳥を保護したのだった。

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「大丈夫さ。俺が明日にでも山に行って見てまわってくるから」


いつまでも気にして鳥籠を見たり外を見たりしている妻にそう言って慰めた。




了。